ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)の最晩年、1924年の活動は、81回にも及ぶ講演[カルマ的関連の秘教的考察]に止まらない。全焼したゲーテアヌム再建のために粘土模型を制作、当時としては画期的な鉄筋コンクリートの建築を試みている。また、音楽オイリュトミーのための講座をはじめとして、治療教育講座、言語オイリュトミー講座、農業講座など、さらにキリスト者共同体のためにも助言を惜しまなかった。
本書はドイツ語全集版(第5巻 GA239)に収められた、パリ講演(1924年5月23日〜25日)の全訳です。。
人間の母を通して生まれる存在、
それは地球上で生じたものではないのです。
いわば舞台のみが地球上に生じたに過ぎません。
太陽生活における超感覚的な諸世界において形成された
1つの素晴らしい宇宙的造営物が、肉体的遺伝を通して
与えられるものの中に受肉するのです。
セラフィーム・ケルビーム・トローネの元で、
次の地上生において私たちのカルマの成就に成るものを、
私たちが人間として他の人々を通して体験することに成るものを・・・
私たちは超感覚的なやり方で体験しつつ見るのです。
(本文より)
*
人間が再びカルマに、本当のカルマに帰っていく、
本当のカルマを生き尽くすための・・・
宇宙からの一条の光、カルマ認識の書:
『カルマ論全集(日本では未訳の3巻〜6巻)』第5巻に収められた
パリ講演(1924.5.23 ─ 25)の全訳
●目次より
訳者による序文
| パリにおける3回の講演
第1講演、パリ、1924.5.23
イマジネーション・インスピレーション・インテュイションの認識段階の基盤に立ち、
《死》・《地上生の消失》・《星々》の3つの相の元で考察された、
死と新たな誕生の間の人生における人間の本性。人類の原教師たちとの出会い。
シュトラーダーの原像。コスモスにおける魂の自己外人生。
新たな受肉のための最初の種子としての人生の逆さ向きの体験。
他者に与えた痛みの体験。
第2講演、パリ、1924.5.24
治療の本質。水星天球の秘密。金星生活の領分。太陽人生。
これらの天球における人間の中の悪の清算。
第3講演、パリ、1924.5.25
太陽領分とヒエラルキー。太陽領分におけるキリストの介入。
火星存在・木星存在・土星存在への人間の魂の上昇。
これらの領分における最高次のヒエラルキーの直感における
新たな地上生のためのカルマの形成。
3つの例で表されたこれらの3つの天球を通してのカルマの個々の刻印:
ヴォルテール(火星)、ヴィクトル・ユゴー(土星)、エリファス・レヴィ(木星)
|| カルマ論を通して人生と人間の本質を探る
─ 惑星天球の秘密とヒエラルキー存在たち ─
(訳者による解説)
訳者 丹羽敏雄 Toshio Niwa
京都大学理学部において数学を専攻。大学時代、ゲーテに出会い大き
な影響を受ける。30代半ばシュタイナーの人智学に出会う。
数学の研究・教育の傍ら、オイリュトミーに熱中。人智学をドイツ、
イギリスなどで学ぶ。現在、ゲーテ・シュタイナー的科学、バイオグ
ラフィー・ワーク、占星学、カバラを研究。バイオグラフィーワーカ
ーズ・ジュピター会員。理学博士、津田塾大学名誉教授。
関連著書に『やさしい占星術』、『星々と木々』、『シュタイナーの老年
学』、『シュタイナーの人年学』、『百合と薔薇』、『沈黙のコスモロジー』
他。訳書に『境域に立つ I・II 』、『植物への新しいまなざし』、『エーテ
ルと生命力』、『魂の救済』、『アントロポゾフィーの礎』、『人間と大地
における惑星の作用と生命プロセス』